
\怒りを見つめるシリーズ・第1回/
心の奥にある“怒り”の気持ちを、少しずつほどいていくための連載です。
感情に振り回される日々から、自分の心を穏やかに見つめる時間へ。
「どうしてあんな言い方をするの?」
「なんでわかってくれないの?」
日常の中で、ふとこみ上げる怒り。
それは誰にでもある自然な感情です。
けれど、怒りに振り回されると、後悔や自己嫌悪が残ることもあります。
本当は、怒りはあなたの中の“何かを大切にしているサイン”なのです。
怒りはどこから生まれるのか
怒りは、ある日突然わき上がったように見えて、
実は心の奥で少しずつ積み重なった我慢や期待が関係していることがあります。
たとえば、
「こうすべき」「こうあるべき」という思い。
誰かがその枠から外れたとき
私たちは裏切られたような気持ちになり、怒りが生まれます。
「約束を守るのが当然」
「感謝の言葉を伝えるのが礼儀」
そうした信念は、悪いものではありません。
むしろ、それだけあなたが誠実で、周囲を大切にしている証拠です。
ただ、その“正しさ”が自分を苦しめてしまうこともあるのです。
「怒りの奥」にある本当の想い
怒りの表面の下には、悲しみ・寂しさ・無力感といった繊細な感情が隠れています。
たとえば、
・わかってもらえなかった寂しさ
・軽んじられたように感じた悲しさ
・自分の努力を認めてもらえなかった悔しさ
それらが積み重なって「怒り」として表に出てくるのです。
だから、怒りを感じたときは、
「私は何をわかってほしかったんだろう?」
「本当はどうしてほしかったんだろう?」
と、自分の心に尋ねてみてください。
その答えこそが、あなたの“本音”です。
自分のビリーフ(思い込み)に気づく
怒りの裏には、多くの場合、無意識の“ビリーフ(思い込み)”があります。
たとえば、
「人に迷惑をかけてはいけない」
「親は完璧でなければならない」
「仕事は頑張って当然」
こうした言葉が、自分や他人を縛っていないでしょうか?
ビリーフに気づくことで、
「怒ってはいけない」ではなく
「怒る理由があったんだ」と理解できるようになります。
感情は、見て見ぬふりをすると暴れ出します。
でも、気づいてあげれば、静かに落ち着いていくのです。
怒りに気づいたときの3つのステップ
「そう感じるのも当然だよ」と受けとめる
怒りの奥にある願いを見つける。
「私はこう感じていたんだな」と、自分の言葉で受けとめるだけで、
心の奥のもやもやが少しずつやわらいでいきます。
この3つを繰り返すことで、
“怒りを爆発させる”のではなく
“怒りを理解して受け止める”方向に変わっていきます。
怒りを敵にしない
怒りを「抑えよう」「なくそう」とすると、
それはどこかで形を変えて心を圧迫します。
怒りは、あなたが大切にしている何かを守るために生まれる自然な力。
その力を上手に使えるようになることが、心の成熟につながります。
怒りを敵にせず、味方につける。
その第一歩が、「怒りは悪いものじゃない」と気づくことなのです。
まとめ
怒りの正体は、誰かを攻撃したい気持ちではなく、
「自分の大切なものをわかってほしい」という心の叫びです。
その声を丁寧に聴けるようになると、
怒りに振り回される日々が、少しずつ穏やかに変わっていきます。
次の記事では、その怒りをどう扱い、どう落ち着かせていくか…
アンガーマネジメントの実践方法をお伝えします。
心に寄り添うご案内
もし「怒りに疲れてしまう」「誰かに当たってしまう自分がつらい」と感じているなら
一人で抱え込まなくて大丈夫です。
カウンセリングでは、怒りの奥にある本当の思いを一緒に見つめながら
あなたの心が少しずつ落ち着いていくお手伝いをしています。
怒りを悪者にせず、心のエネルギーとして整えていきましょう。

